日本希望製作所

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4月20日、日本希望製作所事務所において、Hopemaker's Seminar(4月)「自由と生存の家」から見えるもの ~日本の失業・貧困・セーフティーネットの現在を考える」が開催されました。
 講師は、日本希望製作所の菊地理事。
 菊地理事は、日本労働者協同組合連合会理事、フリーター全般労働組合会計も務め、日本の派遣切りされた労働者の支援も取り組むなど、長らく貧困問題に取り組んできています。

 08年末から09年正月に日比谷公園で行われた「年越し派遣村」の活動などを通じて、失業と同時に住まいを失う「ハウジングプア」問題がクローズアップされ始めました。

 現在、全労働者の三分の一を非正規労働者が占めています。彼らの年収が低く抑えられている今日、東京の高い家賃では、派遣やアルバイトで働き、ギリギリのところで頑張っていても、失業してしまえば蓄えもないまますぐに路上に押し出される不安背中合わせに生きている人が増えています。
 この背景には、これまでの日本の住宅政策があまりにも「持ち家」に偏っていたことがあると菊地理事は指摘します。その結果、若者や女性、高齢者、外国人、貧困層などの住まいの問題が、ほとんど無視され続けてきていると。

 そんな中、フリーター全般労働組合の住宅部会では、年収180万円周辺で働く人々が安定して生活を営める住宅提供事業に取り組み始めました。その第1弾として、古い木造2階建てアパート2棟の運営に着手しました。それは単なる住宅の賃貸事業ではなく、家賃を抑えるために、自分たちでできる限り改修して管理し、自ら住宅を確保しようというものです。この「自由と生存の家」プロジェクトは、自分たちが望む住まい方、暮らし方の新しいモデルを自らつくり、社会に提案する試みとして、サポーターズクラブ会員などの賛同者も広がっています。

 当日は、貧困問題に取り組む研究者や活動実践者に加えて、自治体職員、新聞記者の方まで幅広い人が参加し、プロジェクトへの注目が高まっていることも感じるセミナーとなりました。

 菊地理事より、当日の発表内容を基に、「自由と生存の家」の取り組み、背景、目指していることをまとめた寄稿もいただきました。
 現場からのメッセージを、ぜひお読みください。

「自由と生存の家」から見えるもの
~日本の失業・貧困・セーフティネットの現在を考える


菊地 謙(労協船橋事業団)

 私は、昼間は労働者協同組合(ワーカーズコープ)の仕事をしているが、休日や夜間の時間を使って「フリーター全般労働組合」(以下、フリーター労組)という東京を中心とする地域ユニオンの活動にも携わっている。

 フリーター労組は、名前の通り主にアルバイトや派遣などいわゆる非正規労働者によって構成される労働組合で2004年に設立、2006年以降、主に20代から40代のさまざまな人間が参加し活動を広げてきた。現在、組合員は200人ほどで、専従スタッフを持たず、基本的に組合員がボランティアで相談や交渉に当たるが、それ以外にもフリーター層が中心となってつくる「自由と生存のメーデー」を呼びかけたり、他の地域ユニオンの活動に連帯して、品川駅前の京品ホテルの自主営業闘争の支援を行ったり、年末年始の越冬活動への参加などにも積極的に取り組んできた。
 特に最近は解雇や賃金未払いなど労働の問題にとどまらず、派遣切りによる寮の追い出しへの対応や、生活保護の申請支援など、既存の労働組合の枠を超え、「生存」のための組合とでも言うべき活動を組織の課題に据えるようになってきている。

 今や国内労働者の約20%が年収200万円以下という生活保護基準ギリギリの生活を強いられていると言われているが、フリーター労組の組合員の場合、この傾向は更に強まり、組合費の申告状況から収入分布を分析すると年収180万円(月収15万円)以下の組合員は実に全体の約2/3を占めている。
 例えば組合の事務所がある新宿区では賃貸(ワンルーム)の平均家賃は月8万6千円(HOME'S調べ、2009年5月)、杉並区でも月6万8千円(同)となる。フリーター全般労組の組合員が、新宿区に住むとすれば収入の57%を、杉並区なら45%が家賃で奪われてしまい、食費や交通費を払ったらいくらも残らない。派遣やアルバイトで働き、ギリギリのところで頑張っていても、失業してしまえば蓄えもないまますぐに路上に押し出される不安と背中合わせに生きているというのが現実だ。

 そこで、2008年6月の定期大会で「住宅部会」の活動を提案し、組合員の多くを占める年収180万円周辺で働く人々が安定して生活を営める住宅提供事業に向けての準備を開始することを決めた。「まともな賃金をよこせ!」「十分な社会保障を!」と訴えるのと同時に、自分たち自身の手で生きていくための最低条件を確保していこうという取り組みだ。
 組合員対象のアンケート調査を行い、部会での話し合いを重ねる中で、議論だけでなく、まずは具体的な不動産物件を探すところから始めようと、賛助会員の方にご紹介いただいた都内の不動産業者を通じて物件の見学会(2か所)を行った。

 折りしも、2008年末から2009年正月に日比谷公園で行われた「年越し派遣村」の活動などを通じて、失業と同時に住まいを失う「ハウジングプア」問題がクローズアップされ始めた。そこで、見学した物件の中から地下鉄四谷三丁目駅近くの古い木造2階建てアパート2棟の運営に着手することを決めた。この物件は、先の不動産業者の所有で1DK×11部屋。駅まで徒歩1分もかからない好立地でもあり、当初想定した「低廉な」家賃を実現することは、なかなか難しいが、可能な限り自分たち自身の手で片付けや改修作業を行うことで家賃を低く抑え、自ら住まいを確保していく取り組みだ。

 昨年2月以降、協力してくれる建築士さんや大工さんなどと相談の上、大工や左官工事の補助や塗装・床貼り、片付けなど簡単な内装については出来る限り組合の仲間がボランティアで担ってきた。実際に工事を始めてみると、アパートの構造に多くの欠陥が見つかって、かなり手を入れなければならないことも分かり、右往左往しながら、多くの人に呼びかけ、当初3月の予定から大幅に遅れて8月になってようやくオープンすることができた。
 なるべく家賃を低く抑えるため、1DKの部屋を区切ったり共用部分をつくるなどして、全部で16部屋を確保し、3万5千円から6万円程度で貸せるように設計した。また、保証人も必要とせず、敷金も2年間の積み立てで支払ってもらうなど入居についてのハードルも可能な限り低くした。

 まだ工事中の4月から、派遣切りにあって寮を追い出された人や、ネットカフェから相談してきた若者、フリーター全般労組の組合員や都内で働く若者などが住み始めた。6月以降、「NPO自立生活支援センターもやい」の紹介で来た年金生活の人、路上の占いで生計を立ている人、自由と生存の家の新聞記事などを見た病院のケースワーカーの紹介で来た人など、あっという間に部屋は、ほぼ埋まってしまった。

 アパートの運営は、住宅部会の活動を発展させた形で私も含め5人の有志が出資して任意団体を立ち上げ、事業の責任を負うことになった。同時に「反貧困ネットワーク」の仲間やユニオンの仲間に呼びかけ人となっていただき資金的な支援を行う「サポーターズクラブ」も立ち上げた。また、入居者が自分たち自身で住宅に関するさまざまな問題を解決していくための自治会組織もつくり、これらを合わせて「自由と生存の家実行委員会」として運営していくことになった。

 今年始めのいわゆる「公設派遣村」の活動については賛否もあるが、一昨年の「年越し派遣村」以降、住まいと貧困の問題がほとんど解決していないことがあらためて明らかになった。もはや、現代日本の貧困は隠れた問題ではなく、あちこちで顕在化している。私自身の実感としても国や自治体による住宅に関する支援は全く足りないし、失業者や貧困層など必要な人に届いていない。

 「自由と生存の家」でも入居以来、1年近く就職活動を続けても仕事が見つからず、精神的に追い込まれている入居者もいる。そこで昨年の11月からは、毎月第4日曜日に「自由と生存の野菜市」をアパートの前庭で開催し、地域との交流と収入につながる活動にも取り組んできた。雇用されるのを待っていてもほとんど期待できない状況の中で、自分たちで働く場もつくることが実際に求められている。

 現在、貧困や排除の問題は、マスコミもさまざまに取り上げ、社会的な関心も高まっているが、その真っ只中にある当事者自身が、どのように社会への発言力を得ていくかという視点が忘れられがちになっているのではないか、とも感じる。もちろん、住宅問題は社会政策なのだから、「まともな住まいをよこせ」と国や自治体に訴えることは重要だが、一方で自分たちが望む住まい方、暮らし方の新しいモデルをつくっていくことも必要だ。

 正直に言うと、私たちにとってもこのような事業がうまくいくかどうかは全く未知数で不安もある。市場経済的にはかなり無茶なことをしようとしている気もする。ただ、これまでの日本の住宅政策があまりにも「持ち家」に偏っていることは事実であり、その結果、若者や女性、高齢者、外国人、貧困層などの住まいの問題はほとんど無視され続けてきた。
 しかし、いまや全労働者の三分の一を非正規労働者が占め、ますます増加し続ける中で、持ち家を前提とした住宅政策はすでにモデルとして成り立たなくなっている。特に都市部では、既存の建物を利用した新たな形での協同の住まい方が求められている。住宅の新規着工件数が景気の指標となり、ビルやマンションが不動産投機の対象としてスクラップ&ビルドを繰り返し、フリーターや派遣労働者はいつまでも高い家賃負担を強いられ続ける仕組みは明らかにおかしい。私たちは「自由」と「生存」の場を広げていくことでこの状況に一石を投じてみたい。

 また、自由と生存の家は単なる宿所提供に留まらない労働・生活相談機能や文化・交流など支え合い機能をも合わせ持つことも考えている。入居者の間では、この家を一つの拠点として交流スペース、仕事おこしを行うプランなど、さまざまな夢や妄想が広がっている。更なるカンパや趣旨に賛同してくださる家主さんも募集しながら、できれば2軒目の「自由と生存の家」をみなさんと一緒に作っていきたい。この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひ「自由と生存の家サポーターズクラブ」にご参加いただければと思う。

第2号に向けた支援の呼びかけ
 http://freeter-jutaku.org/article.php/20100220234841443
サポーターズクラブの呼びかけ
 http://freeter-jutaku.org/article.php/201002202355413
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